筍(たけのこ)
単に筍と言えば孟宗竹の若芽のこと。この竹は、一名を江南竹といい、もとは中国南部の特産でした。琉球から薩摩を経て、京洛に伝えたのはそう古くはなく、我が国の孟宗竹の歴史は、せいぜい二百年ぐらいだそうです。京名物の朝堀り筍は「白子」と言われるように、その肌は京女を思わせる白さに輝いていて、柔かく、えぐ味がほとんどありません。
賞味法は、木の芽和え・若竹煮・土佐煮・白和え・筍ご飯・天ぷら・田楽などに。
単に筍と言えば孟宗竹の若芽のこと。この竹は、一名を江南竹といい、もとは中国南部の特産でした。琉球から薩摩を経て、京洛に伝えたのはそう古くはなく、我が国の孟宗竹の歴史は、せいぜい二百年ぐらいだそうです。京名物の朝堀り筍は「白子」と言われるように、その肌は京女を思わせる白さに輝いていて、柔かく、えぐ味がほとんどありません。
賞味法は、木の芽和え・若竹煮・土佐煮・白和え・筍ご飯・天ぷら・田楽などに。
白魚は江戸っ子になじみの深い魚です。かの徳川家康がこの魚を大変好んだという記録があるそうです。佃島で白魚漁をさせていた築地魚河岸のルーツです、額に薄く見える紋様が葵のご紋に似ている事からトノサマウオで呼ぶ地方があり(霞ヶ浦付近)、江戸っ子の食卓を描くのが巧みな池波正太郎の本にもよく登場します。江戸前寿司でも昔から握られています。今では軍艦巻きにのっける事が多くなりましたが、ネタの寸法に切った笹の上に行儀よく筏に並べてから握ります。春になると産卵のため川に入り、昔は墨田川にも姿を見せ、江戸の春の風物詩でした。現在は霞ケ浦や宍道湖、有明が産地です。鮮魚は半透明です。生は傷みやすいので釜揚げしたものや、卵とじ料理や、白魚の天ぷらなどが美味です。
よく獲れる山陰から日本海での呼び名である「ノドグロ」という名前が全国区になりました。アカムツとも呼ばれていますが、ムツとはまったく違う魚です。アカムツは東京、千葉での呼び名です。脂っこい赤い魚。「ムツ」とは「脂っこい」ことを「むっこい」「むつこい」「むっちり」ということことからきています。すなわち脂っこい魚という意味合いです。現在は真のムツよりはるかに人気が高く、超高級魚です。
旨味も脂も皮下にあります。口の中でとろけるようなので、「白身のトロ」とも呼ばれております。皮を引かずに炙り霜で召し上がるのをお勧めです。もちろん、お寿司でもどうぞ。
ひな祭りには貝なしではおさまらない。赤貝、蜆、浅蜊、平貝、鳥貝、青柳・・・・・数々ある中で王様格はこの蛤。その形が栗を思わせるから「浜の栗」それがハマグリになったといいます。蛤の二枚の殻は幾千万個集めても元の一対でなければけっして合わないという神秘性を持っています。一夫一妻のあるべき姿を象徴するものとして婚礼の献立に蛤吸(蛤の吸物)がかかせません。
賞味法としては蛤吸い・酒蒸し・焼き蛤・鍋物などです。
古くから縁起の良い魚とされ、正月料理の中心にあるのが真鯛の塩焼きです。結婚式や国技である相撲の優勝祝いにも使われ、日本人の祝いの席の必需品といえます。 平安時代中期成立の『延喜式』にも「鯛」の文字があり、江戸時代には、獲れた鯛はいのいちばんに将軍家に献上されました。日本では海魚の王といわれ、姿の美しさも魚肉の風味も申し分ないので名物料理も各地に多数存在します。旬は産卵のため浅瀬に移動する桜の季節が一番旨いと言われます。ただし産卵後には味が落ちるもののすぐにかいふくすること、また産卵期も南と北ではかなり異なることから、桜の時期も紅葉の時期も美味しく、いつでもどこかに味の良いものがあります。七福神の恵比寿様が釣るので、目出度い(めでたい)ことから、おめで鯛、ありが鯛。
旬は晩冬から春、初夏です。寿司や天ぷらの高級素材として定番で、糸造りの刺身、昆布〆、潮汁の椀だね、などとして出されるときも高級感があります。その長い身を結んで昆布だしで戴くお吸い物は、お祝いの席などに使われ、見た目も美しく食べても非常に美味しいものです。また干し物もあり、非常に高価ですが、それだけの価値がある味わいです。サヨリの握り寿司はさっぱりとして美味しいです。
雑学ですが、外形の美しさに似ず、腹を開くと真っ黒なので、「ハラグロ」といわれます。このことから、言っていることとやっていることが違う人を「サヨリのような奴だ」と呼ぶそうです。
ホタルイカは身投げをする?春は産卵のため岸に接近しようと浮上してきますが、明るい新月の夜は水面の高さがわからず、波にさらわれ打ち上げれれてしまいます。これが「身投げ」と呼ばれ、富山の春の風物詩として親しまれております。また、その名の通り発光します。目のまわり、脚などに発光器があります。旬は1月から5月ごろまで、沖漬け(しょうゆ漬け)などで親しまれます。浜ゆでしたものを生姜醤油や酢味噌和えなどにしてもも美味。
「のれそれ」とはアナゴの稚魚です。高知を代表する海産珍味としても有名です。早春を代表する海の幸の一つです。のれそれが食卓を飾ると高知人は春がすぐ近くにまできたことを実感し、生命の芽生えの季節を楽しみながら柔らかな心持でその味を楽しむそうです。透明で柔和なイメージから南海の妖精の異名も持つのれそれですが、学術的には葉状態と呼ばれるもので、透き通った柳の葉の形にも見えます。気になる」その味は、・・・・・その容姿のごとく、どこまでも淡白でほんのりとした甘みを感じます。水の妖精といわれるじゅんさいの様な粘膜に覆われたその体は喉ごしの良い心太(ところてん)のような食感。それを食べるものを自然と柔らかな心持にさせる神秘に充ちた珍味です。その昔、漁師の方だけが堪能できた隠れた珍味でした。是非ともお召し上がりください。ポン酢でも、しょうが醤油でも出汁と共にでも美味珍味です。
古くは「ササイ」「サダエ」。漢字「栄螺」は「栄(さかえ)」がサザエに近い音なのでつけられました。「栄螺」を音読みで「エイラ」とも。サザエは「ささえ(小家)」のこと。小さな柄のようなもの「ささえ」を多くつけた貝という意味もあります。
五月末からの産卵期にひかえて、三月四月が旬です。壺焼きが極め付け。
栄螺には角があるのが当たり前のようですが、内海の波の静かなところで漁れるものには角がありません。
魚で卵を持ったものは「子持ち」と呼ぶが、イイダコの場合は「いい持ち」と呼びます。
胴の中の卵を煮ると飯粒のように見えることから、「飯蛸」の名前が付きました。漢字では「章魚」や「「章花魚」とも書きます。これは紋章の章を用いた語で、胴に斑紋のあるイイダコの特徴からと思われます。また、地方によっては「一口蛸」や「子持蛸」、「石蛸」と呼びます。
煮物や塩ゆでしたものをワサビ醤油や味醂で伸ばした白味噌や、ネギと一緒に酢味噌で和えても美味しいです。その他、八宝菜などの炒め物や唐揚げ、フライ、おでん鍋物のぐなどにも。
「鯵」の文字は「参」が旧暦の三月(太陽暦の五月ごろ)にあたり、このころが旬だからと言われています。その謂れどうり、初夏から八月にかけてが旬。マアジには浅瀬にいてあまり移動しない「黄アジ型」とやや深い場所で回遊する「黒アジ型」がいます。黄アジ型はいわゆる「根つきのアジ」で、「根つき」とは一か所に居ついたものをいいます。脂がのって旨味が強いのが特徴で、各地でブランド化が進んでいます。
雑学・「アジ」の魚名は古くからあり、アジ(アヂ」とは美味なる魚の意味だと思われます。
江戸時代の新井白石は、『鯵とは味也、その味の美をいふなり』と紹介しています。
流通の発達で、どこでも刺身が食べれれるようになりました。流通の発達と脂志向の影響で、みるみる高級魚に。 鯛に似ているので、鯛の代わりに尾頭付きの祝儀魚に使う地方もあります。水深200~300mに住む深海魚。おなじみの深海魚も増えましたが、美しさも美味しさも一番なのが金目鯛。やはりめでたい(鯛)さかなです。 食べ方は、とくに鮮度がよければ刺身。そして、しゃぶしゃぶ鍋。あら煮。目のまわり、 目玉、胸びれの付け根を喜ぶのが通。さてさて、恋人の前で、食い気をとるか、色気をとるか。
アワビの言葉は古く、伊勢神宮の神饌でもあります。語源は「いはふ(岩触)」や「いははひみ(岩這身)」で、岩をはっていることを意味する音が転訛したしたものです。また「磯のアワビの片思い」などともいわれ、じつはアワビはミミガイ科の巻き貝ですが、二枚あるはずの貝殻が貝殻が片方しかないと思われており、貝殻と身が合わないの意で「あわぬみ(不合肉)」からアワビに。逆に「あわすみ(合肉)」の意で、貝殻と身がぴったりと合うためなど、貝殻と身の形をいったものです。
肝醤油で食べる刺身や鮑のバター焼きが美味で喜ばれております。
春から初夏にかけて列島沿岸を北上するところを漁獲される初物のカツオは、初ガツオと呼ばれ珍重され、新鮮な酸味のある赤身は初夏の味覚としてもてはやされ、さわやかな初夏の風物詩です。
「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」という山口素堂の俳句が有名です。南下するカツオは「戻り鰹」と呼ばれ、産卵準備のため脂がたっぷり乗り、初ガツオの10倍ほどの脂肪を持ち、トロカツオともいわれ、秋の味覚として人気が高いです。初ガツオの旨みは、新鮮な赤身の酸味にあります。戻り鰹はマグロの中トロにも似た脂の乗りと身肉のうまさにあります。春のカツオは腹側の皮が薄く柔らかなの銀皮造りにすると美味。秋のカツオは脂が乗るので、平造りにされることが多いです。
透明感のあるコリコリとした活けイカ独特の感触をお楽しみ下さい。後ほどゲソとミミ、造りか天麩羅か自然塩での塩焼か、お好みでお楽しみ下さい。お好きな料理法をご指定下さい。
マイカ、ヤリイカ。アオリイカ、いずれも春から夏にかけて美味しくなります。石灰質の甲を持ち、肉厚のマイカ(スミイカ)とアオリイカは刺身に最適です。肉は薄いが味の良いヤリイカやケンサキイカは刺身も美味で、和洋華の種々の料理に向きます。
「エビ」は、そもそもイセエビをさす言葉でした。そして古代から現代に至るまでの儀式や祝いの場、正月などの年中行事に欠かせないものとなりました。その味とともに、腰が曲がり、ヒゲの長い姿が不老長寿を表すとされ、珍重されたのです。養殖法が研究されるもまだ成功しておりません。100%天然ものなのです。「イセエビ」とは現在の三重県伊勢地方の岩礁でたくさん獲れていたためです。関東では鎌倉でたくさん獲れてので「カマクラエビ(鎌倉海老」、鎧を着けた武士のような外見から「グソクエビ(具足海老)」ともいわれています。戦いに出る武士を思わせるため、古くから祝儀にも使われています。
神代自慢の鍋の主人公の食材です。神代鍋をご賞味下さい。
エビの代表的なものがクルマエビです。内湾の浅瀬にいて、古くは帆船で引く「打たせ網」などで獲っていました。エビに海老と字があてるのは、腰が曲がりヒゲを生やした老人に似ているため。長寿というという意味合いから正月などの飾りにも用いられます。クルマエビとは、身体を曲げた状態が丸く車のようだから。ゆでた車海老は、江戸後期の握り寿司誕生以来の伝統的なネタ。戦後生まれた「踊り(活け)」の二種類があります。活けで握る踊り。すし飯の上で動き、食感がいい。ゆで海老は活けよりも甘味が強く、とても美味しい。
鮭の卵でイクラは成熟した卵。ぬるま湯に浸してくさみをとり、塩漬けや醤油漬けにする。寿司だねとしても大人気。珍味な一品。
神代の特製醤油漬けのイクラをご賞味ください。
紫ウニ、バフンウニなどの卵巣で、産卵期前の初夏から初秋にかけて味が良いです。形のぐずれていない磯の香りの高い新鮮なものを選びます。バフンウニと呼ばれるのがエゾバフンウニでオレンジ色の鮮やかな身をもち、市場では「赤」と、ムラサキウニとよばれるのがキタムラサキウニで、やや白っぽい身から市場では「白」と、それぞれ呼ばれます。
すし種の他、生のままかさっと蒸して山葵醤油で食べても簡単で美味しいです。
赤貝は内湾の泥海底に棲む二枚貝です。赤貝は赤いほど高嶺。この赤さは人間の血液と同じヘモグロビンによるものです。栄養価も高く、ビタミン、鉄分、カルシュウムなども豊富です。旬は冬から春。
すし種としても、江戸前を代表するネタ。旨みと甘み、貝の風味が強く通好み。
神代は静岡県葵区有東木産の山葵を使用しております。
有東木は豊富な湧水・澄んだ空気・肥沃な土壌といった恵まれた環境で、山葵栽培発祥の地として全国の料理人にしられています。約400年前、源流に自生した山葵を集落の井戸頭(いどがしら)という湧水地に植えたところ敵地で繁殖したことから、栽培が始まったとされます。
将軍を退いたのち、駿府に隠居した徳川家康に称賛され、村外不出の御法度品として珍重されました。
有東木の山葵の特徴は鼻へ突き抜けるシャープな辛みと香り高い風味があり、後味が非常に甘いのです。
鯨を食材の枠にくくることに異を唱える向きもありますが。日本人の鯨の利用法は昔から余すところなく、決して鯨に対して失礼のないものです。尾の身・赤身・ベーコン・さらし鯨・その他胃は丁字と読んで揚物や鍋物に、腎臓は豆臓と呼んでスライスして刺身や鍋にと多彩。百尋、さえずり、須の子などと各部位にそれぞれ独特の呼称をつけて親しんできました。
どうぞ、神代で貴重な鯨の珍味をご賞味下さい。